「20匹のカブトとのぞみに乗ったよ」
カブトムシに対する情熱は、年を追うごとに白熱していったのでした。
そんなオレも中学生になったある日、愛知県に住んでいる3コ下のいとこからすごい情報を耳にしました。
「うちの地元じゃ、カブトは昼間でもよく見るよ。コウモリに食べさせて遊んでる人とかもいるし。」
な、なんてパラダイス!!!(コウモリの餌にするなんて!トノサマバッタレベルでももったいなくてできません!)
かくして中1の夏休みに、いとこの家に一週間ほど遊びにいくことになりました。
長距離一人旅は始めてでしたが、あまりに大きな期待で道中は全く楽しめませんでした。
昼頃にいとこ宅に到着し、早速カブトを採りに行こうと提案しました。
いとこは「明日の朝たくさんとれるから今じゃなくてもいいよ。」と言いましたが、オレには聞こえませんでした。
よくとれるポイントにいとこと叔母に連れてってもらいました。
はやる気持ちをおさえつつポイントに着きました。
叔母は、自分の名前と同じ“まゆみの木”というのがあると教えてくれました。
すいません、はっきり言って興味がわきませんでした。
(そんな場合と状況ではない)
いとこ「やっぱまだいないね。樹液は出てるんだけど。」
早々といとこがあきらめかけた時です。
オレ「あっ!あそこの葉っぱのとこに一匹いるぞ!」
いとこ「ほんとだ。でも高すぎるよ。とれないよ。」
何を言ってるんだ、登ればいいことじゃないか!?
こんな時のために東京で何もいない木をよく登ってきたんじゃないかー!!
まさに執念です。
なんとか登って待望の1匹ゲット!!
いとこは、なぜ1匹のためにそんなに苦労を惜しまないのか不思議でならないといった表情でした。
大切に持ち帰り、その日は一日中脳内麻薬垂れ流し状態でした。
翌朝、早起きをして再びいとことポイントに向かいました。
行く途中、突然オスのカブトがオレらの横をブ〜〜〜ン☆
オレ「すげぇ、オスだ!追いかけよう!!」
いとこ「いいよ、追いかけなくて。」
何を言ってるんだ、オレは1匹のために隣のアパートの屋上までわざわざ管理人に頼んで鍵を開けてもらって採りに行ったんだぞ!!
(しかも、もういなかったんだぞ!)
執拗に追いかけてなんとか2匹目ゲット♪
いとこ「お〜い!こっちにいっぱいいるよ〜!」
行ってみると、そこはまさにオレが長年夢に見てきた光景そのものでした。
樹液に群がる5〜6匹のカブト、そしてクワガタ、カナブンe.t.c.
いとこ「たくさんいるからオスだけににしようか。」
オレ「何を言ってるの!?子供を産んでもらわないと困るから〜!」
カブト、クワガタ全て確保♪
嗚呼、カナブンを採らない贅沢さよ・・・。
あっという間に一週間は過ぎ、カブトムシ採集以外にも、プールに行ったり水族館に行ったりと本当に楽しませてもらいました。
お菓子の箱2箱に10匹づつ入れて持ち帰ることにしました。
帰りは心に余裕もあり、窓側の席を楽しみにしながら“のぞみ”に乗り込みました。
自分の席の場所に着くと、明らかに男好きそうな女の人がオレの座るはずの窓側の席に座っています。
オレ「あの〜・・・。」
女の人「ん?ああ。」
なんだガキかと言わんばかりの表情で、だるそうに通路側の席に座り直しました。
え〜っと、オレが奥に入れないんですけど・・・。
女の人は、ったく面倒くせぇなといった雰囲気でオレを奥に入れてくれました。
東京までの移動中、女の人はオレが大事そうに持ってるお菓子の箱を何度か気にしていました。
あれ?今なんかフタ動かなかった!?
明らかに不信感を漂わせて見てきます。
しばらくすると女の人は寝てしまいまいた。
ずっと箱の中の状態が気になってたオレは、みんな元気にしてるか様子を見てみることにしました。
フタをあけると、ガサガサガサ〜。
女の人「ぎゃあーーーーーー!!!」
(ほんと申し訳なかったです)
急いでフタを閉めて、着くまではもうずうーっと窓側を見てました。(気まずかった〜)
女の人も、全く信じられないといった感じで体ごと通路側を向けてしのいでるといった感じでした。
駅に到着すると、女の人は乗ったときの雰囲気とは打って変わって機敏に道をあけてくれたのでした。

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